僕の畑
僕の借りた畑は正確には畑ではなく「田んぼ」でした。
畑は水はけが良いほうが良いと言われていますが、田んぼは逆で水が抜けない方が良いそうです。そのため田んぼは土が粘土質で水が溜まりやすく、乾くとカチカチでひび割れるくらいでした。
手押しの耕耘機で何度も耕しますが、土の塊がゴロゴロ。それでも何とか畝を立ていよいよ植え付け。最初は絶対にこれだ!!そう決めていた野菜がありました。
それは、、、。
さつまいも
僕は子供の頃、さつまいも掘りが大好きでした。
ごろっとした大きいお芋。少しづつ掘ってあるかな?あるかな?と探す気分はまるで宝探し!!それをどうしてもやりたかったんです。
そして先の事も考えずに900本も植えつける。(普通個人でやるなら20本でも十分)
一心不乱にひたすら植え続けやり遂げた時には達成感と喜びに畑に大の字に寝転がりました。
上には雲一つない青空とそこを気持ち良さそうに飛ぶ鳥、まさに至福の時でした。
この時の僕は知る由もなかった。とんでもない過ちを犯していたことを。
梅雨の大雨
梅雨に入り雨が多くなりました。僕は「恵みの雨だ~」と喜んでいました。しかしその後突然の警報級の大雨になってしまいました。
台風でも浸水しない地下道が車のタイヤが見えなくなるくらいの深さになっていました。
「これはやばい?」
慌てて僕は畑の様子を見にいきます。そこで僕が見た景色に絶望しました。
完全に水没していました。雨量もそうなのですが、ここは田んぼだった。それを完全に忘れていました。
「大丈夫だろうか?」
さつまいもについて調べるととどめの一撃が。
「さつまいもは乾燥を好む、水はけが良い畑が向いている。」そう書かれていました。
一番作ってはいけない場所にやってしまった。それはとてもショックでした。目の前に沈むサツマイモを助けようと、水の中にスコップを突っ込み、水の流れを作る道を何時間も掘りましたが、焼け石に水でした。
雨の後
警報級の雨が去った後、畑にいくことに。
正直見にいきたくなかったです。全部だめになってたら。その光景を見たくなかったんです。
怖い気持ちを振り払って見てみると、そこには植えつけたさつまいもが生き残ってくれていました!
「本当に良かった。」僕は体の力がスッと抜けました。
水に3日間も浸かりながらも、負けずに葉を広げる姿はとてもたくましく見えました。その姿に僕は勇気と強さをもらえた気がしました。
ここからまた頑張って、この子たちを立派に子の畑で育てるぞ!そう心に決めました。